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人物デッサンやイラストで、陰影をつけたはずなのに顔が「のっぺり」して見える。そんな悩みは、顔を細かなパーツの集まりとして見ていることが原因になっている場合があります。顔を大きな面(プレーン)の集まりとして捉えると、光が当たる場所と影になる場所が理屈で決まるようになります。
この記事では、面とは何かという基本から、面の分け方、部位ごとの向き、頭部のブロック化、光と影の割り当て、模写と実物観察を使った練習手順までを順番に整理します。最後に、自分の絵を点検できるチェックリストとよくある質問も用意しました。
- 面は「少なく、大きく」分けることから始める
- 最初は光源を1つに固定して考える
- 形、面、明暗の順で進めると迷いにくい
- 練習は短時間を繰り返す形が取り組みやすい
顔の面(プレーン)とは何か|立体を平面で捉える考え方
顔の面とは、丸みのある顔を「向きの違う平らな面」の集まりに単純化して捉える考え方です。人物デッサンや人物画の教育で広く用いられています。
たとえば、額の中央は前を向き、額の上部は上を向き、こめかみは側面へ回り込みます。顎の下は下を向く面になります。実際の顔は滑らかな曲面ですが、あえて平面に置き換えることで、どこが光を受けてどこが暗くなるのかを判断しやすくなります。
- 面とは、同じ向きを向いているとみなせる領域のこと
- 面が切り替わる境目が、形の変化点になる
- 細部より先に、大きな向きの違いを見る
面で学ぶメリット|形・光・影が理屈でつながる
面で学ぶ最大のメリットは、形の理解と明暗の判断が一本の理屈でつながることです。面の向きが分かれば、光源に対して明るくなるか暗くなるかを推測できます。
感覚だけで陰影をつけると、描く場所ごとに光の向きがぶれ、立体感が崩れがちです。面の向きを基準にすれば、「この面は光源に向いているから明るい」「この面は光から傾いているから暗い」と根拠を持って塗り分けられます。

- 形を大づかみにでき、細部に迷い込みにくい
- 光源が変わっても、面の向きから明暗を組み立て直せる
- 写真や実物を見たときに、何を見ればよいかが明確になる
顔の基本の面の分け方|正面・側面・上面・下面
頭部の面は、一般に正面、左右の側面、上面、下面の大きな面に分けて説明されます。ただし面の数に統一された正解はなく、指導者や流派によって異なります。目的に合わせて少なく大きく分けることから始めるのが目安です。
- 正面:額の中央、鼻筋、口周りなど、まっすぐ前を向く部分
- 側面:こめかみ、頬の外側、耳の前後など、横へ回り込む部分
- 上面:額の上部から頭頂へ向かう、上を向く部分
- 下面:顎の下、鼻の下など、下を向く部分
最初から細かく分けようとせず、まずはこの4方向だけで顔を見てみましょう。慣れてきたら、頬や額など重要な部位を必要に応じて追加していきます。
各パーツの面を理解する|額・眉弓・鼻・頬・口周り・顎
部位ごとに、どちらを向く面なのかを短く覚えておくと、観察のたびに判断しやすくなります。以下は目安であり、人によって形は異なります。
- 額:中央は前向き、上部は上向き、こめかみ側は側面へ回り込む
- 眉弓(眉の骨の出っ張り):目の上で影を作りやすい張り出し
- 鼻:側面と下面を持ち、鼻先の下側は下向きの面になる
- 頬:正面から側面へ斜めに回り込む面
- 口周り:丸みを持って前へ張り出し、円筒のように捉えられる
- 顎:前面と、下向きの面(顎の下)に分けて考える

面の切り替わりを見つけるコツは、「向きが変わる場所を探す」ことです。細かい凹凸ではなく、光の当たり方が大きく変わる境目に注目します。
頭部をブロック化する|球体とボックスで大づかみにする
頭部をブロック化するとは、球体や箱などの単純な立体に置き換えて、全体のボリュームを先に決める手順です。面を考える前の土台になります。
一例として、頭蓋を球体、顎まわりを箱状の立体として捉え、その表面に面を割り当てていきます。ルーミス法は、球体の側面を切り取って頭部の基準を作る手法として知られており、面の学習と補完的に使えます。詳しい手順は関連記事に譲り、ここでは大づかみの考え方に絞ります。
- 球体で頭蓋のボリュームを描く
- 顔の中心線と目の位置の目安線を入れる
- 顎や頬の箱状のボリュームを足す
- 各ブロックの表面に、正面・側面・下面などの向きを意識する
光の向きと面の明暗を対応させる|光源の決め方と影の割り当て
光源に向いた面は明るく、光から傾く面は暗くなります。これは明暗の基本原理です。初学者には、光源を1つに固定して描く方法が定番として用いられます。

たとえば光が斜め上の左から当たる場合、額の上部と顔の左側面が明るくなり、顎の下や右側面が暗くなります。明暗の要素は次のように整理されることが多いです。
- ハイライト:光が最も強く当たる、いちばん明るい部分
- 明部・中間調:光を受けている面と、その次に明るい面
- コアシャドウ:光から離れ始める、影のいちばん濃い部分
- 反射光:周囲から跳ね返って影の中にうっすら入る光
- 落ちる影:鼻や顎などが別の場所に落とす影
面の向きを決め、光源の方向を決め、その組み合わせで明暗を割り当てる。この順番を守ると、陰影のつけ方が安定します。
練習ステップ1|写真や作例の模写で面を見つける
最初の練習には、光が固定されている写真や作例の模写が取り組みやすい方法です。何を見るか、何を描くか、終わりの目安を決めて進めましょう。
- 何を見るか:光源が1つと分かる資料で、明るい面と暗い面の境目を探す
- 何を描くか:細部は省き、大きな面ごとに明るさを3段階程度に塗り分ける
- 終わりの目安:顔全体が数個のかたまりに見えて、立体に感じられること
資料は、面と光が読み取りやすいものを選ぶのがコツです。逆光や複雑な照明の写真は、慣れてからに回しましょう。
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練習ステップ2|石膏像・実物観察・自分の顔で確認する
模写で面を見つけられるようになったら、立体そのものを観察して確かめます。石膏像や実物観察、鏡に映る自分の顔が代表的な方法です。
- 何を見るか:頭の向きや光の位置を少し動かして、面の明暗がどう変わるかを見る
- 何を描くか:面の境目を線で示し、その後に明暗を割り当てる
- 終わりの目安:光を動かしたときの変化を、面の向きで説明できること
石膏像を用意できない場合は、写真や自分の顔で代替できます。自分の顔は手軽ですが、姿勢や角度に制約があるため、スマートフォンのライトなどで光の向きを変えながら観察すると理解が深まります。
練習方法の比較表|模写・写真・石膏像・実物観察の違い
練習方法にはそれぞれ特徴があります。以下は一般的な傾向をまとめた目安であり、個人差があります。
| 練習方法 | 難易度(目安) | 光の変化の理解 | 必要な道具 | 向いている段階 |
|---|---|---|---|---|
| 作例の模写 | 低め | 光が固定されるため変化は学びにくい | 紙と筆記具、資料 | 最初の入門段階 |
| 写真参照 | 低〜中 | 写真の選び方で学べる内容が変わる | 紙と筆記具、写真 | 入門〜初級 |
| 石膏像 | 中 | 面が整理され、光の変化を観察しやすい | 石膏像、照明、画材 | 初級〜中級 |
| 実物観察(人物モデル・鏡) | 高め | 情報量が多く、応用力が育つ | モデルや鏡、照明 | 中級以降 |
| 自分の顔 | 中 | ライトで手軽に光を変えられる | 鏡、ライト、画材 | 初級〜中級 |

上達を確認するチェックリストとよくある失敗
次の4項目は、学習の目安として本記事で設計したものであり、公的な基準ではありません。描き終えたら、自分の絵を点検してみましょう。
- 面の数が多すぎないか:細かく分けすぎると、かえって立体が見えなくなります。まず大きな面に戻して考え直します。
- 光源が一貫しているか:顔の左右や各パーツで光の向きがばらつくと、不自然に見えます。光源の位置を紙の端にメモしておくと安心です。
- 面の境目に段差が出ているか:面が切り替わる場所で明るさの差が出ていないと、のっぺりします。境目に明暗の段差を意識して足します。
- 正面と斜めの両方で描けるか:正面だけ描けても、斜めで崩れる場合があります。同じ人物を別の角度でも描いて確認します。
よくある失敗は、パーツの輪郭線を先に描き込みすぎることと、影の位置を感覚で決めてしまうことです。形、面、明暗の順に戻って修正しましょう。
ここまでの内容を、実際の1枚で試してみましょう。上のチェックリストを手元に置き、光源が1つと分かる資料を選んで、大きな面だけで顔を塗り分けてみてください。
よくある質問(FAQ)
面は何個に分けるべきですか?
統一された正解はなく、指導者や流派によって異なります。目的に合わせて、少なく大きく分けるところから始めるのが目安です。慣れてから必要な部位を追加してください。
ルーミス法とは何が違いますか?
一例として、ルーミス法は球体を基準に頭部の位置関係を作る手法で、面の学習は表面の向きと光の関係を捉える考え方です。両者は補完的に併用できます。詳しい手順は関連記事をご覧ください。
アニメ調の絵にも役立ちますか?
絵柄によって省略や誇張の程度は変わりますが、光と影の位置を決める土台として役立つ場面が多いです。面の考え方を応用の視点として取り入れてみてください。

1日どれくらい練習すべきですか?
適した時間には個人差があるため、具体的な時間は示しません。短い時間でも継続して反復することが取り組みやすい考え方です。無理のない範囲で続けられる量を見つけてください。
参考資料はどう選べばよいですか?
面と光が読み取りやすい資料を選ぶのがコツです。光源が1つと分かる写真や作例から始め、慣れたら複雑な照明の資料へ広げていきましょう。
まとめと次の一歩
顔の面の学習は、顔を大きな向きの違いで捉え、光源との関係で明暗を割り当てる練習です。面は少なく大きく分け、形、面、明暗の順で進めると迷いにくくなります。
- まず正面・側面・上面・下面の4方向で顔を見る
- 光源を1つに固定して、面と明暗を対応させる
- 模写から始めて、石膏像・実物・自分の顔へ広げる
- チェックリストで点検し、失敗したら大きな面に戻る
次の一歩として、光源が分かる資料を1枚選び、大きな面の塗り分けだけで顔を描いてみましょう。
- 人物デッサンおよび美術解剖学の教育で一般的に共有されている、頭部の面の捉え方
- 明暗の基本原理(光源に向いた面は明るく、傾く面は暗くなる)
- ルーミス法として知られる、球体を基準にした頭部の作図手法
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